母のお遣い

母が小さい頃、母の家に身を寄せていた親戚の人のことを話してくれたことがあった。
それは憶えていた。
今日はお昼まで資格試験を受験していて、試験が無事に終わった、でも受かってないと思う、という報告の電話を母にした。
ちょうど天満橋の駅に着いたときに携帯電話で話をしていて、駅併設の商業施設で「中原淳一」さんのイベントがあることを見たので
中原淳一さんのんしてはるみたいやから、見てかえろうかなぁ。」と話をしたら
「dosue、そこから日本橋は近い?」と母がたずねてきた。
「電車で20分ぐらいかな。」と言うと、「私の親戚、あなたにとっては大叔母さんにあたる人が日本橋に住んではるの。えっと、住所はねぇ」と
続けて話し出した。
このパターン、これは、「私、じゃぁ、その人に会ってこようかな?」という私の言葉を待っている感じ。
期待に副わないと、と 母の話を黙って聞く。
母から教えてもらった大叔母さんの住所を携帯でググッてみたら 近くに病院があるようだったので
その病院のHPを検索。
で、アクセス方法を閲覧。

で、私は母ですら60年以上も会っていない、でも連絡だけはとっている大叔母さんに会いに行くことに。

天満橋から乗換えもスムーズで、乗換えがスムーズだということだけでも
顔がほころんでしまうような日。
徹夜明けで顔が赤らんでいるような私。
誰かに恋しているみたいな顔つきに見えないこともない。

大叔母さんの家に到着。
電話をかけて、私が母の娘であること、いつも母から話を聞いていて、いつの日か母と一緒にお目にかかりたいと思っていたこと
今日は私一人でやってきたこと を話し、急にうかがう失礼をおゆるしください、と言ったら
閉まっていたシャッターを開けて家屋へ入るようにと言ってくださった。

大叔母さんは80歳とは思えないくらいシッカリしてはって、驚いた。
頭の回転の速い、おはだがつるつるでおしゃれな大叔母さん。
母の携帯電話がFOMAなのを思い出した私は、テレビ電話にチャレンジしたが
母の方のカメラが閉じたままだったので こちらの映像を母が見ることができても
母の映像をこちらで見ることができなかった。
電話のスピーカーから聞こえる母の声は 嬉しそうに聞こえた。
「おねえさん、お元気ですか?」と。
母は大叔母さんのことを「おねえさん」と呼んでいた。

母にとって大阪は遠いところ。
せっかく大阪へ行くなら 大阪においやす知り合いの人にお目にかかりたいわぁ、という人。
私にとってニューヨークもロンドンも遠いところ。
せっかくニューヨークへ行くなら大西洋を渡ってロンドンの知り合いにお目にかかりたいわぁ、と思う私。

なんか似てるわ、と思った日。