夜中のバーミヤン

いつもはボーっと仕事をしているのですが、
集中して仕事をこなしているフリをし出すと時間の経つのも忘れてしまうことがあり、
iTuneでvirginUKのラジオが流れていたのに急に静かになることで
初めて時計を見たりすることもあります。
晩ご飯も食べそびれてしまっており
少しぐらいお腹に何か入れておきたいなぁ、なんて思って
バーミヤンへ行きました。
お客さんは一組のヤングなレディースと私だけ。
ヤングなレディースは写メールをイケメンからもらって大騒ぎしていらっしゃり、
お店中に響き渡る声で会話をしてはりました。
私はお粥を注文したものの、「お粥ください」と言ったら「ディナーセット」やらなんやらをすすめられて、「すみません。よばれられへんと思うので、また今度にします。」と断ったら
「いやぁ、言わなくちゃいけないことになってるので」とかどうでもいいことを店員さんに言われて「たいへんですねぇ。すみません。ご期待にそえなくて......」とか心にも無い事をだらだらというてしまうような そんな深夜のバーミヤン
店員さんの「言わなくちゃいけないことになってるので」の声をかき消すぐらいの大きな声で
「えぇえっ?写メ、送るのぉ?どんな顔で送ったらいいのぉ?」と騒ぎまくっているレディース。
厨房からは信じられないくらい大きな音がし、何かが割れたと推測される夜中のバーミヤン
DoCoMoのプレミアクラブの特典でドリンクバーがお安くなっているというのをお粥が運ばれてくるまでの間にいじっていた携帯電話で知るものの、私はそれに魅力を感じられず、
せっかくの特典を活かす機会に恵まれませんでした。
と、その時、「きゃーーーー!」という絶叫。
レディースが携帯電話のディスプレイを見ながら叫んでいて、
「めちゃくちゃかっこいい!いやーーーーー!なんでこんなにかっこいいの?ビリヤードとか、むちゃくちゃ似合ってるしぃ!」と絶叫は更につづいていて
絶叫の最中におかゆが運ばれてくるものの、注文していないほうのおかゆでした。
騒がしいところでゆっくりと自分のペースで咀嚼するというのがこんなに難しい事だとは知りませんでした。
私は、あつあつのおかゆを丸呑みしてしまい、口の中はやけどだらけになりました。
こんなんだったら99ショップで味の素さんが出してはるレトルトお粥を買って家で食べたほうがよかったと後悔しました。
そのうち、レディースは写メールを撮りはじめました。
色々な場所で色々なポーズで。
私が背景の一部になることもあったので
コルソマルケのうえださんにいただいた素敵なライター(LEDライト付ライター)の青色LED
あご下から顔を照らして写ってあげました。
束ねていた髪をおろし、前髪で顔を隠すようにして青い光を浴びながら....
そんなに暗い店内ではありませんでしたが、青い光はその場には存在しえない色調なわけで
そこから浮かび上がる口腔やけどまみれの女が写メに写っているわけです。
写メールを送られた、受信した「イケメン」さんからの返事で
「青い人は誰?」と書いてあったらしいというのを
席を立つときに偶然漏れ聞く事ができました。
「え?青い人って?え?え?」とレディースは騒ぎ出しました。

私はニヤリとしました。
口腔のやけどの痛みも薄らいだ気がしました。