泣けるCM

どうしても泣けてしまうCMがある。
臓器移植のCM。
私が入院していたときに同室だったある女性は私と同い年だった。
その女性は生体肝移植を受ける人だった。
大変に明るい性格の彼女とすぐに仲良くなった。
手術はうまくいったけれど、しばらくして 胆管がつまったことが原因で亡くなってしまった。
彼女は 手術を受けなければ30年は生きられると言われたけれど、もっと生きたいから手術を受けるのだと私に話してくれていた。
彼女には30年は「30年も」ではなく、「30年しか」だったのだ。

私のそれまでの友人とは違うタイプの彼女と 色々な話をした。
前向きな生き方に刺激を受けた。

彼女が住んでいたのは山口県で、京都の病院まで手術を受けにきていて、術後も京都の病院で検査を受けるときには私に連絡をくれていた。
彼女が亡くなったのは京都で。
検査に来ていて具合が悪くなってそのまま入院、そして亡くなったらしい。
私はそのころ、海外に旅行にでかけていて、
自分の携帯電話の留守番電話を出先から聞いていた。
無言の留守録が残されていて、誰からだかわからなかった。
帰国後、彼女に連絡を取ろうとしてご実家に電話をしたら亡くなったと聞かされた。
無言の留守録は彼女だったのかもしれないと、旅行に出たことが悔やまれた。

「生体肝移植を受けてから 出産した人はまだいないの。だから私、第一号になれるかも!」
「私、まだ 移植を受けてから0歳なのよねー」

そう言っていた彼女をいつも思い出すCM。

あのBGMはNHKの朝の連ドラで使われていたものだし、その連ドラはあまり好きではなかったけれど
CMに出てはるかたがたの笑顔を見ていると 彼女が話してくれたことを思い出して泣けてくる。

多分、誰かに「刷り込み」をされたら 今ならすごいことになるだろう。

ジョディ フォスターを見たら鼻血を出してしまっていた私だもん。