じいじが天国に。

保険の代理店をしているNさんが亡くなった。

私が普通免許を取り、任意保険をかけてもらってから ずーっと付き合いがあった。
会社関係、実家の保険などもそこでかけていて、年に数回、それぞれの更新時期には話をする機会があった。
たまたま母の同窓の先輩であることから 私も「先輩」と呼ぶようになっていた。
でも、私は 本人には内緒でNさんのことを「じいじ」と呼んでいた。
接触事故に遭った時、すべて保険会社任せにしようとしていたのに
「dosueしゃん、闘いなはれ!」と言い、その保険会社は口も手も出さない、と言ったじいじ。
じいじは、私の接触事故のケースなら、過失はゼロだと主張。
私は 相手の保険会社やアジャスターとやり取りをするのは苦手だし、嫌だ、と言ったのに
「アドバイスはしますから、どーぞ ご自分でやっとくれやす。」と 京都弁で押し切られてしまった。
なんとか直接相手の保険会社とやり取りをするも、やはり 過失はゼロにはならず、1割。
それでもいろいろやって まぁ お金で損をすることはなかったけれど 時間や手間はかかってしまった。
それでもじいじはこう言った。「よう やらはりました。そやけどdosueしゃん、これは ええ勉強なんでっせ。」と。
勘弁してくれ、とそのときは思ったけれど 今は いい勉強をさせてもらったと思っている。
そんなじいじは 肺気腫を患い、外へ出かけることが難しくなった。
お店は息子に代替わりし、なかなかじいじと話す機会も無くなった。
私はそれが淋しかったので、店を継いだ息子さんに 来社してもらうことを避け、
お店へ私が出向いて じいじと話せる機会を作った。
じいじは酸素吸入をしながら いろんな話をしてくれた。
本をよく読むじいじだったから、このタイトルの本がよかった、とかいろいろ私にすすめてくれた。
じいじお奨めの本を私は読むことがなかったけれど 正義のことや正論について じいじとは話をした。
今日はモータースポーツのイベントの手伝いをしに兵庫県の山奥へ行ってしまっていたので
お通夜には間に合わなかった。
イベントの帰り、実家に電話をした時に長姉からじいじの訃報を聞いた。
運転できなくなるんじゃないかと思うくらい一人で声を上げて泣いてしまったけれど
今日は じいじが守っていてくれるから事故せず家まで帰り着くことができたんだと思う。
じいじ、いろいろありがとう。
保険会社が私のことを「モラルハザード」だとやんわり言ってきた時に、
じいじは 怒って立ち上がり、保険会社まで出向いて「うちのお客さんになんてこと言うんや!」と怒鳴りに言ったらしい。
奥さんがはらはらした、と 後日 話してくれた。
そのときの件では、保険会社から謝りの連絡があり、ちゃんと保険を使うことができた。
もう、じいじを怒らせてはいけないなぁ、と反省した。
相談にのってもらいたいことはたくさんあったけど、じいじをカッとさせてはいけないんだな、と。
って、うちはお客さんやのに、変な話。
でも、私はじいじが好きだった。
大好きな大人だった。
息子は嫌いだけど。
じいじ、安らかに。
もう、息苦しくないかな。
そのうち私も行きますから、また いろいろ話を聞かせてください。
合掌。