あなたが伯母だったころ

誰かの歌のタイトルを思い出した。
伯父が熟年離婚したのはいつだったか。もうおぼえていないけれど しばらく前。
離婚する前、伯父の妻だった人は私の伯母だった。
息子2人に恵まれたけれど、娘がほしかった、と言っていた。
彼女はある日、家出をした。
長男の嫁、何かに不満があって出て行った。
祖父の具合が悪くなったころ、彼女は戻ってきて、祖父の世話、長男の嫁として
はたからみていて イマイチだなぁ、と思う行動もあったけれど彼女なりにがんばってつとめている風に見えた。
そんな時、私は彼女と話をした。
どうして家出しちゃってたの?とたずねたら
どんなに思いあっている二人でも、言葉や目に見えるものがないと不安になるでしょ?と 目に涙を浮かべながら彼女は答えた。
もうどこへも行かないし、ずっとここにいるわ。いつかドライブにつれてってね、と続けて。

祖父が亡くなって、彼女はまた家出をした。
家財道具をごっそり持ち出し、伯父の預金類も持ち出した。

しばらくして離婚が成立。
伯父は 結婚相談所で知り合ったずいぶんわかい女性と再婚した。

その後、伯母だった人は、東京でのんびり暮らしている、と 従兄弟から聞いた。

数ヶ月前、その、伯母だった人が癌を患い、余命いくばくもないのだ、と母から聞かされた。
母は 伯父の新しい妻から聞いたらしい。

祖父が亡くなる前に ひょっこり戻ってきた伯母の行動。
その後の伯母の行動について
私は 自分の2006年の行動と重ねているところがあったので
機会があれば 伯母だった人と話をしてみたいと思っていた。
余命いくばくもない、そんな容態の人のところへ行き、
お見舞いをしたり、昔の話や、今、私があのときの会話について考えているところを彼女に述べるというアクションは
私が自分の欲求を満たすため以外 なにものでもないなぁ、と思ったので
容態が急転して、元気になってもらうことを祈るのみにした。

今日、母から聞かされた。
土曜日に伯母だった人が亡くなった、と。

相手がどう思っているかはわからないけど
どこかで伯母だった人に ばったり出会ったら
楽しくおしゃべりできそうな気がしていた。
「私ね、うぃんどぅずじゃなくて、マックをつかってるの。」と言っていた彼女と
いろいろなことについて話ができる気がしていた。

話ができなくて残念。

別れようと思って家を出たら
戻らなくちゃいけない!って気になるような出来事があって
その出来事のきりのいいところまで ちゃんとやったら
やっぱり出ていきたくなってしまった、って言うのが
2005年後半から2007年前半までの私の日々と似てるから、
そういうのを聞いてもらいたかった。
あ、やっぱり 私の欲求を満たしたいだけなんだな。
自分勝手でごめんなさい。
どうぞ 安らかに。
合掌。