火曜大工

30年以上前、母が私を庭へ呼び、写真を撮ってくれた。
私は末子だったので 子供時代の写真が少ないから、と写真撮影をしてくれた。
私のお気に入りの服と絵本を庭の床几にひろげて
「好きな服を着て、好きな絵本を読んでみて。」と母が私に言った。
その床几は、夏は椅子になり、そこでスイカを食べたし、母と二人でお昼を庭で食べる時にはテーブルにもなった。
最近、その床几は 生協の共同購入で買った品物をひろげる台になっていた。
その床几のあしもとが割れてしまい、ぐらぐらになってしまったと母に言われた。
姉は、新しい、キャンプ用の折りたたみテーブルか何かを買おう、と提案してくれたのだが
私は 修理をしたいと申し出た。
ちょうど、ガレージのカーポートを新しいのにした時に出た 角材のいらないのがあったので
それをのこぎりで切って 割れてしまったパーツの代わりを作った。
小雨の中、軒で ぎこぎこざくざく。
やっとできあがったと思ったら 寸法が間違っていた。
で、もう一度 作り直し。
約2時間。
できあがったといっても なんだか中途半端だし
時間を作って作り直そうと考えている。
中途半端だと認識しているのに なぜだか妙な達成感に包まれたわたしは
一本だけ冷やしてあったアサヒのスーパードライを飲んだ。
あまり好きではない味のはずだったのに 大変においしかった。
今度は、ちゃんと DIYのお店へ行って角材を買い
ちゃんと補修してあげようと、アルコールで真っ赤になった顔でぶつぶつ床几に話しかけた。